2011年 02月 20日 ( 3 )

See Dance 十一日目 

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くもりの日
今日は、横浜に行けるか。
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by kmr-sato | 2011-02-20 10:37

KATHY (5)

ところで、最近の女性グループとしては、彼女たちのことも考えてみたい。

プロジェクト大山 キャッチ・マイ・ビーム!

考えてみたいのだけれど、ぼくはあまり知りません。もちろん、昨年トヨタ・コレオグラフィー・アワードを受賞したことは知っています。その日の上演も見ました。この成果からすれば、昨年の日本のダンスにおける最も評価されたグループのひとつということになるでしょうか。

ぼくは、彼女たちのダンスを見ていると、今日のダンスの状況というのがとてもよくあらわれているなと思う。

彼女たちのダンスは、ある独特なダンス言語を用いているように思う。それをモダンダンスといっていいのか、学校の体育ダンスの延長線上にあるもの、という気がする。彼女たちは、その自分たちの出自をかなり端的に(KATHYで用いた言葉で言い換えるならば、批評的にではなく)用いている。そのことが、今日のダンスの状況をよくあらわしていると思うのだ。

趣味の共同体の並立。

批評的に、過去のさまざまなスタイルを引用して、そのあり方を反省するということではなくて、それぞれのお好みのスタイルのなかで遊ぶ。

彼女たちに限ったことではなく、それぞれがそれぞれの趣味に閉じてそれぞれの好みのなかに閉じている、と感じることが多い。

閉じているので、分かるひとには分かる、けれども、分からないひとには分からない。という状況で、ある意味では、健全だ。ひとに迷惑をかけない。

けれども、それぞれが閉じた状況では観客もそれぞれの趣味に閉じるので、客の増加は望めない。それぞれの言語で語っている限り、自分以外はすべて外人になってしまう。

外人にも通じるようにするにはどうすればいいか、ということで、出てくるのは、言語を解さなくても分かるものである審美性であったりする。美しさか崇高さ。「美しいー」と叫び、「こわー」と驚く。ここには観劇する足る実質があるように錯覚するなにかがある。

よくも悪くも、この審美性に向かいがちというのが、表現のひとつの傾向であろう。

なんだか、See Danceの趣旨から離れてしまいましたが、どうしょう、こりゃこりゃと思うのです。

いやいや、やっぱりこれは「ダンスでなにが見たいのか」ということに関わる話ですよね。

でも、
批評的である他に道はない気がするんですけれど、それはぼくがダンスをアートとして考えているからなんでしょうか。

あと、ダンスの難しさに、自分の身体からなかなか自由になれないということがあると思います。

絵画の道具が絵の具や絵筆やキャンバスだとすれば、ダンスの道具は身体。だとして、この身体は生きていているものです。そして、しばしば、コレオグラファー=ダンサーだったりして、この身体というものと距離がとれなかったり、縛られたりしがちです。

このことが、ダンス固有の価値でもあると思うんですけれど、同時に、ダンスが他の芸術表現のような自由さを獲得できないところでもあるように思います。

KATHYは、黒ストッキングを顔にかぶり、手にもストッキングをはいて、肌を消すことで、そうした難しさから脱することが出来ていると思うのですが、どうでしょうか。

それは間違いなくKATHYの発明でした。KATHYによって、踊る身体は、ある意味、身体でありつつ、絵の具や絵筆、キャンバスのような位置におかれうるものになりました。

個性を奪われ、ただの「踊る女の子」として踊る身体は、ここでいわば「レディメイド」化しました(デュシャンは、絵の具や絵筆やキャンバスは、工業製品であり、既製品(レディメイド)ではないか、と言っています)。

身体に対して、新しいアプローチをとることが出来るようになった。

身体に対して、個性とか、意志とか、「かわいい/かわいくない」の評価とか、抱かなくてすむようになった。(いかに、ぼくたちがそうした点に縛られているのかを意識させられることになった。)

このことは、なかなかに革命的だったと思います(先達として、ロイ・フラー、オスカーシュレンマー、アルヴィン・ニコライがいます。彼らの考えが一枚岩だとも、彼らとKATHYの狙いが同じとも思いませんが)。

無意識的にそう思い抱かれてしまうダンサー=「踊り子」という立場からダンサーを引きはがすことが出来た。

そもそも踊り子が生きていた、踊り子=人形(欲望の対象)という存在の仕方を、意識化することとなった。(この意識化を別の角度から積極的に展開しているのがオタク系文化だろうし、その成果として、先にあげた様な、AKB48といったアイドルの存在とダンスがある)

そして、「踊り子なるもの」について意識的に反省するダンス表現が可能になったわけです。
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by kmr-sato | 2011-02-20 10:21

KATHY (4)

KATHYのことを考えたい。

ただし、その前に、前々回のエントリーでぼくが日本のコンテンポラリーダンスの女子グループから受け取る「ある大枠」についてもう少し触れてみようと思う。

先日、kiiiiiiiiが復活した。

We're the BAD

懐かしいなあとうれしく思ったのは、彼女たちの(こういってよければ)ビッチ振りだ。ライブでは冒頭に、「きーーーー」と絶叫する。まだ全然あったまっていない観客は、ほぼ全員どきっとさせられる。この曲なんかでもよくあらわれているように、パンクというか、チアーというか、声の出し方が激しい。激しい女の子。最近見ないキャラクターだ。最近と言えば、

モーニング娘。 女と男のララバイゲーム

AKB 48ポニーテールとシュシュ

Perfume ねえ

少女時代 Gee

などを見れば一目瞭然のように、ポップな世界では基本的に女の子は、「男に従うやさしくかわいい子」であることがデフォルトになっている。「モテ志向」の女性と言えばいいか。もちろん、社会の大きな流れとしては、それがメインストリームとは言いがたい面があり、後で触れるように同性集団内部での相互評価に(とくに女性は)大きなウエイトがある社会なのかもしれない。

「モテ志向」の歌とかダンスとかがある一方で、kiiiiiiiの「悪さ」は、そうしたもののもつ通念のこわばりをもみほぐしてくれる気がして楽しい。

では、こうした見取り図をつくったうえでKATHYはどこに位置づけられることになるのだろう。

コンセプトから見るに、KATHYのうちにある女の子像というのは「KATHYという巨大な力に支配されている女の子三人」であり、支配者からの指令に応えようとしつつ、気づけばおかしなことになってしまう、そうした女性たちである。そこには、kiiiiiiiに見たのとは異なる「悪さ」がある。

「悪さ」と呼んでは見たが、本人たちが「悪さ」を性格としてもっていたり、「悪さ」を演じてみたりするというのではない。むしろ「気づいたら腐っていた」とかそういう「傷み」に近いものだ。そうした、従うものとの葛藤の中で「傷んで」ゆくさまが、KATHYを見ることの醍醐味だとぼくは思っている。

もう一度見てみましょう。

見ていると、先にあげた「大枠」のことが気になってくる。
KATHYは、こういう格好だけれど、美しい。それは、彼女たちが踊れるところに由来する。
踊れるということは、テクニックを習得しているということだ。「お稽古」の幼少時代を過ごしたということだ。

そのさまが、「従うものとの関係」と連動する。踊ることは、楽しいばかりじゃなくて、稽古に耐え求めに応えることでもあり、その息苦しさ、つらさ、つらさを通した喜びを含んでいる。

だから、せつない。

KATHYは、そうして「踊る女の子」を批評している。(踊る女の子は「従属する女性」全般のメタファーであり、自立した女性でも、過去に(とくに幼少期に)そうした女性であったことがあるならば、すべての女性がそうであったろう、すべての女性のある側面のメタファーとなりうる、もちろん、ジェンダーで簡単に分けるのも意味はなくて、「従属する女性」に自分を見たり、自分の生き方を振り返らされるすべての男性へのメッセージでもある)
そこに、圧倒的なオリジナリティと存在の魅力がある、と思う。

KATHYには、批評性がある。
それは、今日の芸術の必須条件。

当たり前のことだけれど、案外希有なものでもある、とくにダンスの分野では。

けれども、批評を通して状況の外部にたつのでもない。
「上から目線」というか、えらそーではない。

しばしばほとんど「突如」といった仕方で会場にあらわれ、場に介入して、「傷み」を散らして、陶酔感を残して、去って行く。

そのすべてがコンセプトであるけれど、説明をことらさら要しないのだ。

KATHYは、数少ない、ダンスにおけるコンセプチュアル・アートである。
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by kmr-sato | 2011-02-20 09:40


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