2011年 02月 12日 ( 4 )

身体表現サークル(5) Rube Goldberg Deviceと(1)

いまNHK BS 2でAR三兄弟の番組、見てました。そうとう近い未来に、アート分野にこれ関連の出来事がぼこぼこ起こるのでしょうね。

いま、それで、妻が出来立てのスモークチーズを持ってきてくれたので、チーズだけ食べてはチーズに悪いと思い、ビール(発泡酒)を飲み始めました。2/12の14:50。雪はやみましたが、外は寒そうです。家でダンスのこと考えてましょう。

今回のSee Dance、ぼくのなかでひとつ、縛りを作っています。それは「批判を書かない」ということです。毎年この時期、批判の文章をブログに書き、そこであまり理解のない再批判に合うということを繰り返してきたので、ここでは「批判を書かない」ことを誓います。「批判」と書きましたが、ぼくとしては愛ある……、いや、この際いいわけもしないことにします。

楽しいイベントにしたいのです。
ダンスを愛する気持ちを、静かに爆発させたいのです。
「見るダンス」もあるよ、とちょっとだけいいたいのです。港町に向けて。

……

さて、身体表現サークルについて、これまで書いてきましたが、彼らを考えるのに、もうひとつ別の視点を彼らに差し向けてみたいと思います。そのためにももう一度ご覧ください。

身体表現サークル 01/02 吾妻橋ダンスクロッシング2004年7月公演

(こんなに身体表現サークルを見ること最近なかったですよね。このブログイベントに何人つきあってくださっているのか分かりませんが、10人でもその気になってくれてYou Tube見ながらダンスのこと考えてくれていたら、もうそれでぼくは十分幸福です。できたら「身体表現サークルはじめて知ったよ」なんていう若い人に見てほしい!がんばれダンス!)

見てもらいました?これも、なかなかのものです。
で、こうした三人の動き、とくに冒頭のびんたがびんたをよぶ、数珠つなぎ状態、身体表現サークルのアイディアの魅力のひとつは、ここにあると思います(例えば、こうした点は、contact Gonzoにはやや希薄です)。

そんで、こうした動きをぼくは、「ピタゴラスイッチのあの装置みたいな」と適当に呼んでいたのですが、正式名称とでもいうべき呼び名があったんですね。

Rube Goldberg Machine

正月の頃、ある研究書(Machine-Age Comedy)を読んでいたら、デュシャンの機械的な作品性を論じるなかで、このルーブ・ゴールドバーグ・マシンのことが言及されていたんですね。これで、ぼくは、この漫画家の存在を初めて知ったのです。

どうも、ダダが彼に興味をもっていたらしいとか、現代美術にある程度の影響を与えた存在らしく、また先述のように、デュシャンの「大ガラス」を解く際にその関連を推測されていたりします。例えば、そうした美術との関連でいうと、一番目立っているのは、2001年にWilliam Collage Museum od Artで行われた「Chain Reaction」展。これは、ゴールドバーグを大々的にフィーチャーしつつ、ルーブ・ゴールドバーグ・マシン(デヴァイス)的作品を作る作家たちを集め、展示する展覧会でした。
e0233387_15201838.jpg























しばらく、ゴールドバーグと「チェイン・リアクション」展の紹介をしてから、身体表現サークルに戻りたいのですが。

ルーブ・ゴールドバーグの漫画は、例えばこんな「チェイン・リアクション」を描いています。
e0233387_15225999.jpg
子犬(A)が成長するにつれて、子犬のしっぽ(B)は伸びて、岩(C)を低い位置にしていく、その岩は、クモ(D)をつぶしてしまう。鳥(E)は不幸なクモのために涙を流し、涙(F)がバケツ(G)をいっぱいにする。バケツは糸(H)を引っ張り、ガラス製のカバー(I)をもち上げ、リンブルガーチーズ(J)があらわになる。亀(K)が、扇ごうとしてネクタイの端(L)をつかみ、そこをあらゆる方向に揺らす。そこが結び目のできるようにこんがらがると、ネクタイは適当な感じに見える。もしこの仕事が気に入らないなら、放り投げて、既製品のネクタイを使いなさい。


Rube Goldberg Now you know how to tie a full-dress tie, ca. 1918


なるほど、こうした「連鎖反応」を仕掛けとして考えて、その荒唐無稽なさまを読み手に笑いにして提供するというのが、ゴールドバーグの漫画だということができるでしょう。

そうして、こうした機械的な装置への信頼ともからかいともとれる思いこそが、当時の機械時代の感性のひとつだった、ということもいえるでしょう。そこに、今日の現代美術の基礎を作ったマルセル・デュシャンもいたわけです(ティンゲリーももちろん「父」の一人でしょう)。

そして、こうした「連鎖反応」する機械を現代美術の文脈で制作する作家たちというのが、今日、数多く活躍しています。

代表的なのは、やはり、Fischli and Weiss でしょうか。

The Way Things Go

「Chain Reaction」展では、彼らを「兄」とするようなさまざまな「弟」たちのことが紹介されています。

Arthur Ganson Margot’s Cat Machine with Abandoned Doll

Martin Kersels Tumble Room 

Alan Rath Ambulatory Sculpture and Dancing Robot

など。
ぼくは知らない作家が多かったので、勉強になったし、テクノロジーとアートの融合という点で、このあたりの作家たちをひとつの達成とする見方があるのだろうということは分かりました。が、一方で、これだったら、日本の作家たちだって負けてないんじゃない?とも思いました。

泉太郎「こねる」展

梅田哲也「や」

など。

長くなったので、続きはあらためて。
[PR]
by kmr-sato | 2011-02-12 15:48

身体表現サークル(4) contact Gonzoと

上のスキン画像変更しました。
あとで書こうと思っているRube Goldbergの漫画です。

見ているうちに、大事なグループを思い出しました(そう、このイベント「See Dance」の大事なポイントは、まさしく、「思い出すこと」なのです)。

contact Gonzo

いや、彼らを忘れていたというよりは、彼らと身体表現サークルを結びつける自分の中にあったはずの回路を思い出しました。身体表現サークルが活動を消極化してゆくのとちょうど反比例するように、contact Gonzoは存在感を強めていきました。いまや、日本のダンスを語るのに、なくてはならない存在。見てみましょう。

インターナショナル・ショーケース2010 contact Gonzo コンタクト・ゴンゾ

6:20登山用のワイヤーが出てくるあたりからのシーン最高(とくに7:01前後)ですが、ちょっと置いておいて、
4:40あたりからのビンタし合いを、身体表現サークルのそれと比べてみるといいかもしれない。

と、いうことで、
身体表現サークル 01/02 吾妻橋ダンスクロッシング2004年7月公演を見てみましょう。

ちょっと比較してみます、

   cG               身体
激しいコンタクト         激しくはないコンタクト
条件反射的リアクション      条件反射的リアクション
エモーショナル          オートマチック
即興               振り付け(タスク・ルール)

こうすると対立的に見えるかもしれないけれど、そうではなくて、むしろ「接触」=コンタクトのもつレンジとして見た方がいいのではないでしょうか。

なんとなく、今日の「エモーショナルなもの」の人気とcontact Gonzoの人気がつながっているような気もするし、対して身体表現サークルのユーモラス振る舞いが「軟弱」に見えてくる、それゆえに、いけてなく思う向きもあるかもしれない。けれども、必ずしも、そんな風に軍配を決めなくてもいいのではないかと思います。どちらもに、可能性があるはず。

こうして見てみると、日本のダンス、バラエティに富んでいるじゃないか、と思えてきます。
[PR]
by kmr-sato | 2011-02-12 12:20

雪だ 今日も書きます。三日目?

e0233387_9451141.jpg

[PR]
by kmr-sato | 2011-02-12 09:46

身体表現サークル(3) ポスト・モダンダンスと

いま、息子が寝た。寒いので、あまり使ってこなかったダウンベストを出してきて着せたら、チャックを閉めていく間に寝てしまった。ようやく自分の時間ができた。さっきまで、R-1見てました。あまりに、貧乏ネタが多いのと、あるあるネタとかショートネタとかが全然受けなくなってたのが印象的。お笑いも、マイナーなジャンルになったみたいだ。すべてはマイナー。妻は、最近趣味にしているスモークの準備している。明日は、サーモンと砂肝のスモークが食べられるみたい。

はい、再度、

身体表現サークルの「広島回転人間」見てみましょう。

今日の映像ではないですよ、雪降ってますが。「広島回転人間」は、彼らが2006年にトヨタコレオグラフィー・アワードのファイナルに出たときの作品。このヴァージョンは、そのときのとかなり違いますが、エッセンスは残っている。

どうですかね。
いま見ても、ポップ&キュートだと、思うのですが。

「裸でふんどし」という外見は、たんなる「色物」と思われがち、当時もそうだった。けれども、この動きの質は、(彼らがそう意識して行っていたかはともかく)いわゆるダンス的ではないかもしれないけれど、でも、ある意味で、それでもやはりダンス的だ。例えば、

Yvonne Rainer Ros Indexical 2007

の「もたもた」感と似ている。イヴォンヌ・レイナーは、若い頃作ったこの作品「トリオA」を代表作とする、ポスト・モダンダンスと後でくくられることになるひとたちのなかの一人。ジャドソン・ダンス・シアターの主要メンバーだった。

この辺り、細かくは、拙著『未来のダンスを開発する フィジカル・アート・セオリー入門』をご参照願いたいところです。いまは拙著からやや自由になって、映像から感じられることをつらつらと書いてみます。

ぼくは、こうした動きをジャドソン・ダンス・シアター活動当時のタームに倣って「タスク」と呼ぶことにした。自分から自発的に動いている(かにみせる)わけでなく、むしろ動かされている状態をあらわにしながら動くこと。

なにかを「見せる」といった能動的な表現の要素を縮小させることで、受動的な「動かされている」という要素を拡大する。すると、身体の動きは、動かされている身体と身体を動かそうとするルールとが分離した状態で見えてくる。隠れていた主従の関係があらわにされる。そこに、このダンスの面白さがある、とぼくは思っている。

「やろうとしてること」と「やれていること」が離れている事態というのは、普通、へたな踊りといわれる。けれども、それは「やろうとしていること」が高度な場合だ。そして、高度だと「できる」ことそれ自体に価値が生まれたりする(手段の目的化)。高い跳躍ができる、とか。でも、それは、先述したように、エリート身体を生むことしかない。高度でなくていい。ただ、ルールとそれに従っている身体の状態とがあらわれていること。透明化されていること。美しいなにかで覆い隠す必要は、かならずしもないのだ。

Trisha Brown Spanish Dance

このトリシャのダンスは、動きはミニマルなんだけれど、腰を使ってお尻が揺れるキュートさもあって、とても魅力的。

こういうダンスが見たいな!誰かこういうダンス作らないかな!

と、身体表現サークルをポスト・モダンダンスと関連づけたり、アルゴリズム体操と結びつけたりは、これまでぼくがよく講義などでしてきたこと。あらためて,見てみよう。

アルゴリズム体操

この体操は、人間の機械化としては面白いところがある。けど、身体表現サークルの方がデリケートにできているのはいうまでもない。音楽の有無は大きい気がする。それにしても、「裸」で「接触」するって、見る側にもダイレクトにくるところがあるよなー。あと、こういうと比べても、似ているけれど、やっぱり大きく異なるところがある。

アルゴリズム体操 フィリピンの刑務所編

まさにマスゲーム的な状況。タスクに従うダンサーは、どこか囚人みたいだ。それのそのまんまヴァージョン。

こうやって、ざーっとこの傾向のダンスを見てみると、こういうダンスが存在しているということは確認できますが、いま日本にこういうダンスがあるか、際立った作品はあるか、といえば、どうでしょうか。例えば、これを見てみましょう。

捩子ぴじん syzygy short ver.

もう上演して二年近くたつのですが、あらためて見ても、面白いよなー。

この作品の上演にはぼくも関わったので、なんとなく手前味噌なのですが、そんなことで自重するのはよそう。これは、いまの日本における、クレイジーで、クリエイティヴな、ひとつの達成です。捩子ぴじん、すごいじゃないか!これを数年続けたら、なにか「明確なもの」が出てくる気がする。んー。

ここで見てきたのと比べると「sygyzy」のポイントは、スピードだ。
かなりヘヴィなタスクが、するするとどんどん展開していく。そのSFチックな、映画的な世界が、舞台上に広がっているという、目指すところがなかなか恐ろしい作品。

あと、重要なのは、「チェイン・リアクション」が起きていること。この点については、次に書きます。

「sygyzy」プロジェクトが、ここで止まっているのは、とても惜しい。小さなトライアルでもいいので、ここを起点にさらなる作品作りを進めていてくれたらいいのに、と思って、二年が経とうとしている。

(以上の投稿、書き始めたのは昨日の九時くらい、最終的にアップしたのは今日の8時半になりました。)
[PR]
by kmr-sato | 2011-02-12 08:27


ダンスについて書きます


by kmr-sato

プロフィールを見る
画像一覧

カテゴリ

全体
大学
未分類

以前の記事

2011年 05月
2011年 03月
2011年 02月

フォロー中のブログ

メモ帳

最新のトラックバック

ライフログ

検索

タグ

その他のジャンル

ブログパーツ

最新の記事

「即興二番」+ベクトルズ
at 2011-05-14 08:21
室伏鴻待望の日本公演!
at 2011-05-12 20:11
「現代のアイドルとしてのAK..
at 2011-05-11 06:05
「現代のアイドルとしてのAK..
at 2011-05-11 05:59
「現代のアイドルとしてのAK..
at 2011-05-11 05:58

外部リンク

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧