「現代のアイドルとしてのAKB48」(5)

21 ひとつめ
 選べる手軽さ、身近さ。一昔前のアイドルといえば、松田聖子のような国民的ミューズもしくはモーニング娘。のような、誰が見ても納得のだいたい美少女集団であり、崇拝すべき対象だった。しかし、現代のアイドルであるAKB48は違う。一クラス分ある人数の中から自分好みの子を選べ、消費できる(推せる)こと、ファンに選択の余地があること、つまり与えられるもの全ての消費から選択する消費へとの変化こそが非常に現代的だと感じる。もうひとつ、今は会いにいけないアイドルになりつつあるが、コンセプトの「会いにいけるアイドル」はアイドルの敷居をぐっと下げたように思う。かわいいあの子に会いにいく、応援するという一見対等な関係がファンの「俺がアイツを育てる」という欲望を満たしているのではないか。現代ではインターネットなどを通し、一般人でも自由に批評や意見を発信することが容易なため、一介のファンがインターネット武装をすることで大きな影響力を持つことも不可能でない。そんなこともあり、本来あった上下関係のようなものがとりこわされ、対等もしくはそれ以上の立場のような関係ができあがる。価値観の多様化や国民全員発信者という現代の特徴にあわせて、アイドルのあり方も変化するのだと思った。ということは、アイドルをじっと分析すれば、その時代の人々の状態もわかるのか!アイドルすごい。
ふたつめ
 祭りのあるアイドル。もふくちゃんこと福嶋麻衣子氏の著書「日本の若者は不幸じゃない」の書中に「学園祭ビジネス」という単語が使われている。もふくちゃんの作った言葉で、学園祭を作りあげるような一体感、居場所をビジネスとするものであり、ファンと共に祭を行うまでの準備期間にこそ価値があるという。AKBでいうところの、総選挙がこれにあたるだろう。総選挙まで、アイドルとファンが協力して票集めをする。モー娘。メンバーはファンのいないオーディションによってプロデューサーによって選ばれるが、AKB選抜メンバーはファンによって選ばれる。当然、推しメンを選抜入りして活躍させたければ、票集めのがんばりが必要になる。時にファン同士でネット掲示板やブログ、SNSを通して呼びかけあったり、投票数を報告しあったりしながら、祭りの準備をしていく。そうして、祭り本番を向かえ、さらに大きな一体感と達成感、そしてアイドルからの「ありがとう」により、それまでのがんばりが報われる。時にサプライズによって新たな祭りへとシフトしていく。終わらない学園祭が、ここにはある。このようなファン同士、ファンとアイドルの一体感こそが、個人化している現代人が求めるものであり、現代でAKB(他にも今ブームの地下アイドルなど、身近なアイドル)がウケる理由ではないか。

22               現代のアイドルを応援するためには、テレビの前にいるだけでは足りない。アイドルは昔から“ブラウン管の向こう”にいる遠い存在だが、現代ではそんなに遠くないのかもしれない。AKB48は身近なアイドルとしてデビューした。遠くからテレビを通してみる、なんとなく現実から離れた存在ではなく、小さなライブハウスで実際に会うことができる。デビュー当時に比べチケットが入手困難になった現在でもこのようなファンとの繋がりは守られている。もはやファンにしてみても、テレビの向こうからアイドルに憧れを抱くだけでは弱い。CDを買うのも当たり前。もっと積極的に参加していかなければならない。ライブに行って実際にアイドルに会うことによってこそ堂々と自分はファンだと宣言できるのだろう。
 現代はアイドル戦国時代といわれるほどアイドルがあふれている。私自身は“不真面目な消費者”であり、アイドルたち、その曲の一つ一つを差別化していくのは困難である。このような受動的な消費者はどんどんアイドルの世界から取り残されてしまう。充実したネット環境が要因の一つだろう。CDを買わなくても曲やジャケット写真、歌詞は簡単に手に入る。この方が安く手間もかからない。少し気になる程度ならYou Tubeで聞けば十分である。しかしファンにとってはCDの特典が重要である。AKB48の場合、AKB商法と揶揄されもしたが、CDに限定の写真や総選挙の投票権を封入し、そのCDの付加価値を高めた。どのファンでも平等に恩恵にあずかることができる。ここがAKBの魅力の一つでもある。
 アイドルは消費者を巻き込んでいかなければならないと同時に、視聴者自身も積極的に参加していかなければならないのである。この二点においてAKB48はある程度の成功を収めたのではないか。そしてかつてのアイドルという遠いいわば非現実的な存在をリアルの世界に生きる個人であると認識させた。AKB48はファンや消費者はアイドルと決して交わらない世界ではなく、身近な存在であるという現在のアイドル観の先駆者であるように思う。

23                “現代のアイドルとしてのAKB48”。そう聞いて私が真っ先に思ったことは“現代のアイドルとしてではないAKB48”とは何かということだった。そしてそこから行き着いたことは、秋元康プロデュースという点で、現代のアイドルである“AKB48”と現代のアイドルではない“おニャン子クラブ”の比較であった。
まず、私が注目したのは、楽曲である。双方のほとんどの楽曲が秋元康によって歌詞されているのだが、ゆえに、似たようなタイトルも多数存在している。たとえば『セーラー服を脱がさないで』/『制服が邪魔をする』、『およしになってね TEACHER』/『Dear my teacher』、『真っ赤な自転車』/『2人乗りの自転車』など、前者がおニャン子クラブ、後者がAKB48なのだが、非常によく似ていることが分かる。しかし、タイトルが似ていても歌詞はその時代のアイドルという存在をよく反映していることに注目したい。
アイドルの黄金期とも呼ばれたおニャン子クラブの時代。素人っぽさを売りにしていたとはいえ、やはりアイドルはどこか手の届かない別世界の存在であった。メディアへの露出がテレビに限られており、また握手会なども極めて少なく、プライベートが謎に包まれていたからだ。つまり、アイドルはファンの想像で作られており、アイドル自身は常に受け身の状態であったのだ。
それに比べ、アイドル戦国時代と言われている現代はどうだろう。現代のアイドルの代表であるAKB48を見ると、「会いにいけるアイドル」というキャッチコピーの通り、劇場公演や握手会を頻繁に行っている。またメディアの露出もテレビに限らず、近年発達してきたWebや携帯など幅を広げている。ブログというコミュニティツールも、アイドルたちが自分たちと同じ世界にいると実感できる一因と言えるであろう。つまり、アイドルはファンの想像で存在しているのではなく、アイドルという存在を自らアピールしているのだ。
そう考えると、おニャン子クラブの歌詞は、過激なことも言ってはいるが、しかしながらどこかイメージ通り、可愛らしく恥じらいのある禁欲的で草食的な歌詞に。AKB48の歌詞は、現代の女の子の本音をストレートに歌った肉食的な歌詞が多いことに気が付く。たとえば、セーラー服を脱がさないで(『セーラー服を脱がさないで』より)/キスしなさい(『制服が邪魔をする』より)、およしになって TEACHER(『およしになってね TEACHER』)/Kiss me BABY!(『Dear my teacher』)、このままどこかに連れてって(『真赤な自転車』)/君となら走り続けたい(『2人乗りの自転車』)などが挙げられる。
 よって、“現代のアイドルとしてのAKB48”とは、握手会や現代ならではのブログなどのコミュニティツールを使ったり、本音を歌うことで、ファンとの距離を縮め、同じ空間に存在しているということを実感させてくれるアイドルではないかと私は思う。そして、そんな身近なアイドルの存在が多くの人々に受け入れられ、求められているのが“現代のアイドル・AKB48”を支えているのではないだろうか。

24                 AKB48は「会いにいけるアイドル」として2005年に秋葉原からスタートしたアイドル集団だ。いまや日本で「AKB48」を聞いたことのない人はほぼいないと思われるほど有名になっている。
AKB48は女子だけで構成されているが、男性のみならず同性にも大きな支持をえている。AKB48は先ほども述べたように、元々はふつうの女の子たちだ。アイドルになるために奮闘する様子は多くの人々に勇気と力を与えてきたようだ。そして、いくつかのチームに分かれていて、選抜や総選挙などのイベントを おこなう。活動全体でキャッチコピーを多用する。これは、ひとつの学校生活のようだ。ひとりのお気に入りを応援し、その子を通して努力・友情・夢などを共有し、一種の女子校生活を疑似体験できる。「青春2回目を体験しているようだ」という声を聞いたことがある。これは大規模な集団だからこそできることである。
そして、楽曲がとても多い。自分たちのチームをおす歌が面白い。「チームB推し」という、その名とおりチームBが自身たちをプッシュする歌だ。アイドルとしてアイドルの自分たちを売り込む歌詞。歌の中には一人一人の名前と決め台詞のような見せ場があり、ファンも大いにもりあがる。これは逆にもともとB推し のファンをガッカリさせたかもしれないが、この歌の楽しそうな雰囲気に新しくB推しになった人も多い模様である。
こうして大きくなってきたAKB48だが、アンチや無関心も存在する。実際私はあまり関心がないし、どちらかというと悪い印象をもっている。以前彼女たちがゲームやトークするテレビ番組をみたとき、彼女たちを怖いとおもった。どこか必死さややり過ぎ感があったからだ。そのある種の滑稽さは「かわいい」を通 り越して「痛々しい」とすら感じさせた。
しかしこれはアイドルたちが歌以外をみせる、ステージ上でのオフ状態ともいえる。AKB48は成長する集団であり、ファンたちはそれを見守る親の目だ。歌っているのとは違う姿を親の目で見るからとてもかわいいのだろう。
現在研究生も含めると48という数字からはかけ離れた人数を誇るAKB48だが、これからはどう成長していくのか気になるところである。

25          「グループアイドル」の良さとは一体何だろうか?
2005年に秋元康プロデュースによって誕生したAKB48(AKB)。私が彼女たちを知るようになったのはその数年後だが、第一印象も特にぱっとしたものではなかった。女の子がたくさんいるグループがまた出来てたのか、程度である。
「また」というのは、私が小中学生の時に全盛期であったモーニング娘。(以下モー娘。)をふまえての印象だ。当時友達の家に行くとみんなでモー娘。の振り付けビデオを観てダンスを覚えたりしていたが、私にはいまいちその良さを感じることができなかった。その思いがAKBを知った時再び私の中に現れたのだ。
特にずっと感じていたのは、「たくさんいれば良いってもんじゃないだろう」という思いである。AKBやモー娘。以前にも、女の子が群れになって歌い踊るグループアイドルと呼ばれる存在はいくつも居る。その多くが解散していく中でなぜこのように繰り返し「グループアイドル」が生まれていくのだろうか? 先述したように自分がリアルタイムで聞いて育ったモー娘。と比較しながら「グループアイドル」としてのAKBについて述べたい。

私はJポップ批評の雑誌を読んでいてこのような文章を見つけた。
“〈娘。ライブ〉観賞は、アリーナ席でなく4階席が最高!”
“娘。ライブの最大のウリは、集団が醸し出すダイナミズム…とするなら、それを最も堪能できるのはアリーナではなくて後方席なんじゃない?”
この部分を読んで驚いた。アイドルを見に行くのなら、いやアイドルに限らず、自分が好んで行くライブは出来ればステージの近くで見たいと思うのが当たり前ではないのだろうか?という私の考えに対し、この発言は著者がモー娘。をアイドルではなく「グループアイドル」として見て、ライブを楽しんでいることをよく表している。さらに、人気の高いとされる『Mr. Moonlight~愛のビッグバンド~』のPVに関しては
“なんのことはない、この曲では、主役の吉澤・準主役級の後藤となっちの3人ばかりに焦点が当てられている。そのせいで、他のメンバーの動きがまるっきり単調になりがちで、娘。の「群舞」の面白さがまるっきり損なわれてしまっていたのだ”
もちろん必ずしもモー娘。ファンのすべてが同じように考えているわけではないだろうとは思うが、群れで歌い踊るという点がモー娘。の大きな魅力であるということがわかる。
ではAKBはどうだろうか。いまやよく知られた情報だが、彼女たちAKBは「会いに行けるアイドル」をコンセプトにしたグループアイドルである。遠い存在であったそれまでのアイドルとは違い、毎日専用劇場で公演を行う「生」を可能にしたアイドルなのだ。決して大きくないその劇場で、ファンは間近で彼女たちの姿を見ることができ、そうするとメンバーひとりひとりをじっくり見つめることもできる。そうして自然とその中から自分が特に応援するメンバーが出てくる。グループアイドルでは必ずといっていいほど、特に○○が好きと言うファンがいるが、これまではなかった「推し」という言葉を流行らせたのは他ならぬAKBである。AKBは、「個」を重要視した「グループアイドル」なのではないだろうか。
また、各TV番組や雑誌ではメンバーが1人ずつで出ていることも実に多く見られる。どこに出るにしてもあの大人数で出るのはさすがに限界があるとは思うが、特に人気のメンバー数人で出演、というわけでもない。ここでも「グループの中の個」を見せていると感じる。対してモー娘。は、メンバー全員以外でメディアに現れたのはほとんどが卒業してから、もしくはソロデビューした時くらいだったように思う。
たとえばAKBのあっちゃんこと前田敦子が元々ソロでデビューしていたら、彼女は今ほど人気になっていただろうか?おそらく出ていないと私は思う。あの人数の中で歌い踊るからこそ光り、つい目で探してしまうのだ。

年齢の近い同じグループアイドルだが、視点を変えると「グループ全体を見せる」モー娘。と、「グループだからこそ、その中で個を見つめる」AKBという見方ができる。
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by kmr-sato | 2011-05-11 05:58


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